アイトラッキングでコックピットシミュレーターはどう進化するか:運転訓練と飛行訓練の成果を加速

最近の研究が示すように、アイトラッキング技術は認知負荷(取り込む情報の量)を測定することで、シミュレーターでの訓練を改善できます。また、一人ひとりに合わせた適応型の学習にも活用でき、学習プロセスの加速と従業員の早期の成果につながります。 

この技術が訓練方法を新たなレベルに引き上げる業界の中でも、特に大きな恩恵を受けているのが航空と自動車です。これらの分野では目の注意と人間による観察が極めて重要であり、フライトやドライビングのシミュレータープログラム中にそれらを監視することで、トレーナーは今後の行動を予測し、従業員の理解度を評価できます。さらに、学習・訓練プロセスをどう改善できるかを把握し、訓練時間とコストを削減できます。

ヒューマンエラーを減らすことで、より安全な環境づくりにも大きく貢献します。トレーニングセッション中の目の動きを繰り返し調べなければ容易には見つけられないミスを特定できるようになります。

アイトラッキングを活用したフライト・ドライビングシミュレーターでの訓練

では、3D アイトラッキング技術は学習プロセスにどのような影響を与え、どう改善できるのでしょうか。そして、それを乗務員(特にパイロット)やドライバーの訓練にどう応用できるのでしょうか。この記事では、まず学習プロセスで 3D アイトラッキングを使うことで一般的に得られるメリットを説明し、次にそれを飛行訓練と運転訓練に当てはめて、この問いに答えます。

3D アイトラッキングは訓練をどう支援し、受講者の成果をどう高めるのか

3D アイトラッキングが訓練プログラムを何によって、どのように支援できるのかを説明する前に、3D アイトラッキング技術の仕組みを知っておきましょう。 

通常のアイトラッキングとは異なり、3D アイトラッキングは最大 1.3 メートル(4.3 フィート)離れた位置から視覚的注意をリモートで追跡します。つまり、従来の機材はもう必要なく、訓練生は訓練中やシミュレーション中にヘッドギアの負担を感じずに済みます。

  • メガネ不要 
  • VR ヘッドセット不要 
  • キャリブレーション不要 
コックピットシミュレーターでのアイトラッキング

どうすればそれが可能になるのでしょうか。答えはシンプルです。コックピットシミュレーターに 3D 深度センサー付きカメラを設置するだけで、複数の対象者を追跡し、操縦席や運転席の関心対象(コマンド・コントロールエリア、特定のレバー類、計器パネルなど)にラベルを付け、それらへの注意をリアルタイムで追跡できます。 

これを可能にするのが、分析ポイントをマッピングするために開発された 3D アイトラッキングソフトウェアGazeSense です。このソフトウェアは、対象者がどこを、何を見ているのかを正確に解釈できます(以下の動画をご覧ください)。

3D アイトラッキング技術は、身に着ける必要のない非侵襲的なデバイスで構成され、現実の環境に組み込んで新しいデータを収集し、訓練プログラムの改善に役立てることができます。 

これは、シミュレーションプログラムの「現状」に挑み、新たな視点をもたらす次世代の技術です。焦点は訓練の情報そのものではなく、対象者である受講者、その素早さ、注意力、エンゲージメント、パフォーマンスに移ります。

その目的は、まず訓練生の視線や注目点のデータを集めることで、将来の、あるいは現在の従業員が手順を守っているかを確認するだけにとどまりません。アイトラッキングは、学習習慣をより深く理解し、訓練時間を減らし、訓練生のスキル向上を早めるのに役立ちます。

訓練生のリアルタイムモニタリング

3D アイトラッキングでまずできるのは、視線をリアルタイムで、またはセッション後の振り返りで監視することです。リアルタイムの視覚チェックと注意持続時間のモニタリングは、効率化のツールになります。さらに、その場で改善を加えることで、緊急事態での優先順位付けについて早い段階から習慣づけを図れます。 

トレーニングセッション中も訓練生と一体に 

訓練生の目の注意を把握できることは、トレーナーにとって欠かせません。 

3D アイトラッキングなら、トレーナーが訓練生の後ろにいても、目の動きをすべて確認できます。これによりプロセスをよりきめ細かくサポートでき、訓練のどの部分を繰り返すべきか、その場でどんな修正をすべきか、操作パネルへの注意について何を改善できるかを、より正確に、より早く見極められます。

訓練中は「しがらみなし」

3D アイトラッキングの大きなメリットの一つは、メガネやその他のヘッドギアを一切必要としないことです。余分なヘッドギアは訓練生の体験やパフォーマンスに影響しかねないため、これは飛行訓練や運転訓練では特に重要です。さらに、キャリブレーションも不要で、目立たない安価な 3D カメラを使って低照度の環境でも動作します。

認知負荷に関する知見

訓練プログラムの第一の役割は、学習プロセスを支えることです。しかし学習プロセスは、人間の記憶システムに完全に依存しています。 

重要なのは、訓練生の肩に、より正確には頭に載せる情報や手順の負荷を、どのように最適化し、必要に応じて最小限に抑えられるかを理解することです。

アイトラッキングを活用したフライト・ドライバー訓練

さらに、訓練時間中の目の注意を追跡すれば、訓練生の注意持続時間や優先順位付けについての重要な知見をもたらす眼球運動データが得られます。たとえば、パイロットや運転の訓練用シミュレーターでは、5 つの主要な警報が同時に鳴るといった認知的な過剰刺激に訓練生がどう反応し、どう注意の優先順位を付けるかを知ることが非常に重要です。

より良く、より安全な職場環境

3D アイトラッキングで収集したビッグデータの分析からは、どのルールや手順を改善・変更すべきか、どのベストプラクティスをさらに広めるべきかについても重要な知見が得られます。  

たとえば航空会社であれば、アイトラッキングを使って、悪天候時にどこで最も多くのミスが起きているかを特定できます。対象者が見直しの必要な誤った箇所を見ていたり誤った操作をしていたりしないか、あるいはコックピットの計器が適切に監視されていないのではないかを確認できます。 

その結果、飛行教官は、こうした状況で操縦者がどう行動すべきかについてのデータを盛り込み、訓練戦略をさらに改善できます。

フライトシミュレーターでのアイトラッキング

ドライバーとパイロットの訓練への 3D アイトラッキングの導入 

3D アイトラッキングを使った訓練の上記のメリットは、注意と安全が極めて重要な職種で役立ちます。 

そのため、パイロットとドライバーの訓練という、リスクと責任の大きい 2 つの職種において、状況を一変させる可能性があります。これらの職種では、仕事で完璧なパフォーマンスを発揮する責任だけでなく、他者の命に対する責任も負っています。どんなミスも許されない分野なのです。 

そして、まさにここで 3D アイトラッキングが人間のパフォーマンスを高めます。

3D アイトラッキングで運転訓練はどう変わるか

車両の操作、重要な視覚的要素の分析による状況判断、ナビゲーションと、訓練生が運転中に複数の作業を同時にこなす必要がある場面に 3D アイトラッキングを導入すると、大きなメリットがあります。

アイトラッキングを活用した運転免許の訓練

アイトラッキングを活用した運転訓練その結果、視線の測定値の分析(ドライバーの場合は主に注意散漫と眠気に関するもの)により、次のことが可能になります。

  • より優れた運転安全手順の策定に役立てる
  • 訓練生との今後の振り返りを改善する

3D アイトラッキングがパイロット訓練に与える影響

視線追跡を航空機のコックピットのような現実の状況と組み合わせることで、訓練生が周囲の情報をどのように取り込んでいるかをリアルタイムで評価し、実際の状況での人間の行動や、注意力とパフォーマンスの指標に関するデータを収集できます。これらは、通常のパイロット訓練では得られないデータです。

フライトシミュレーターでのアイトラッキング

そして、このデータにリアルタイムでアクセスし、さらに分析することで、パイロットの教官は実践的な知見を得られ、次のことに役立てられます。

  • 状況に応じたパイロットの自然な行動と状況認識(SA)をより深く理解する:技術的なトラブルへの対処、悪天候での飛行、緊急事態への対応に、訓練生が自然にどう反応するか
  • パイロットのスキルと能力について、エビデンスに基づく個別の評価や修正を行う
  • 訓練の手順と方法を改善する:教官として情報をより分かりやすく伝え、より効果的に、必要な情報を過不足なく提供できます

まとめ:訓練の現場での 3D アイトラッキングの活用

最終的に、3D アイトラッキングは、教官と乗務員・ドライバー・訓練生の間の非言語コミュニケーションを向上させます。 

言葉を使わず視線だけで、受講者は、自分たちのニーズに合わせて訓練をどう改善できるか、(コックピットシミュレーションの場合)重要な関心領域はどこか、最も関連性の高い情報を最適なタイミングでどう提示できるかについて、貴重なフィードバックを提供してくれます。

より体系的に整理すると、3D アイトラッキングのメリットは次のとおりです。

    • 訓練の初期段階から教材を改善できる。過去のトレーニングセッションのエビデンスがすべてそろっているため、情報の示し方を改善でき、どの部分を強調し、重点的に扱うべきかが分かります。
    • 3D アイトラッキングを使った訓練の実績に基づき、訓練環境全体を改善できる。
    • ヒューマンエラーを早期に予測し、防止できる。
    • ミスを早期に発見でき、より安全な飛行・運転訓練を実現できる。

3D アイトラッキングは訓練環境のアップグレードであり、訓練時間とコストを削減し、従業員の効率と輸送の安全性を高めると言ってよいでしょう。

👉 お問い合わせください。3D アイトラッキングを活用したシミュレーター訓練プログラムの改善をお手伝いします。